医療法人イプシロン

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ウェビナーでの質疑応答

鈴木伸一先生が語るCBTトレーニング理論と実践での質疑応答について

ウェビナー中の質疑応答に関して下記にまとめました。   

Q1「認知行動療法の効果に関するメタ分析結果」のスライドにある、effectsizeの数値は、どう見れば良いでしょうか?
A1 治療前後の改善の度合い。標準偏差からみてどれくらい改善しているか示している。詳細はネットでお調べください。
Q2 上手に提供するコツをぜひ知りたいです。この後の講義を聞くことでつかめるものもあるのかもしれませんが、先生自身がポイントとしているものがあればぜひ教えてください。CBGTでの場合のポイントもあれば教えていただきたいです。
A2 鈴木先生のポイントは研修会後半で。クライエントさんが自分の問題をふむふむと理解することができるような,自己理解が深まっていくように,こんな風に頑張っていくといいんだと見通しを持てるように,ともに目標に向かって話をしながら進んでいく実感が持てているときが,”うまくできている”感が生じやすい。グループの場合は,グループの枠組みに加えて,個別の対応もいれていく。グループセラピーは,CBTのベースとなるエッセンスを学んでもらう場という認識で実践し,グループに個別CBTと同じ機能を求めると,スタッフの負担が大きくなりすぎてしまう。役割と機能をはっきりと認識して取り組むことが現実的。
Q3 現在の生活の中での困りごとに、明らかに過去のことが影響していると見立てた場合は、過去を扱うのでしょうか。また扱う場合はどのように扱うのですか?
A3 過去を扱わないということはないが,PTSDの例と共通。過去の問題が,今にどのくらい影響しているかを聞いてほしい。過去が今にどの程度影響しているかをとらえる。「過去のない今はない」 過去を背景とした今のクライエントを見るということ。
Q4 初歩的な質問ですみません。どのような精神疾患患者でも適用できますか?認知行動療法が向かない人はどのような人ですか?症状や病態によっては行わない方が良い場合があれば教えていただきたいです。
A4 体系化された一連のCBTのマニュアル介入としては全ての疾患に対応しているわけではない。主要なうつや不安に限定される面もある。一方で、その方の問題に応じた問題解決の支援にCBTのアイデアや方法論を活用していくことはよく、そういう意味で絶対的な禁忌というものはないと思う。一方で、CBTはクライエント自身が自分の問題と向き合いながら自分になりに考えたり練習するセラピーなので、その部分が導入までにすんなりいきやすい状態か、タイプかを見極めること。そこにたどるまでの準備が長くかかるような人はいると思う。発達症のように自分の思考を振り買ることが難しい場合には、思考や概念の扱いを減らして行動面に焦点を当てたり、セルフコントロールよりは、環境的な支援など、工夫した活用は良いと思う。CBTといいつつ、行動療法をメインとしたやり方はあると思う。知的、発達が大きい場合は行動療法は有効かもしれない。
Q5 次の面接までに悪循環があるのか見てきてもらうとのことですが。例えば制服に着替えると気持ち悪くなり学校に行けないような子がいた場合、次の面接までいつも気持ち悪くなった場合。クライアントは、また気持ち悪くなるに違いないと強化されてしまうこともあるのでしょうか?
A5 エクスポージャー法でも説明するが、不安になることをあまりやらない方がいいという気持ちもあると思う。ただ、不安を嫌がるのは得たいがしれないからであり、ケースフォーミュレーションでは得体のしれないものを得体のしれるものにする練習であるため、自分の不快さが、なるほどこんな悪循環で生じると理解し、それをなぞりながらやることは、これまでの経験とは違った経験になる。今までと違い、得体のしれる経験だ知れることは良い気付きになることも多く、セラピストが心配するような曝露のよる問題はあまりない。もちろん、準備段階で悪循環や介入の説明など丁寧な支援は必要。
Q6 Clの方の生活の状態が映像として流れるくらいに聞いていきたいなと思っていますクリアでない状態に気づきやすくするコツや、上手く言語化できないあるいは詳細に話したがらない方への質問のコツなどあれば教えていただきたいです。
A6 状況がぼんやりしたり、主人公がクライエントではないことがある。医師からオーダーされて「うつ病」と思って話を聞くと、目の前の本人ではなく一般的なうつ病のイメージとなっていることがある。その人が主人公で、その人がその人の生活状況の名中で暮らしている雰囲気がつかめるかがポイント。言語化しづらい人は、順番に聞いていくことが大切。〇〇さんが職場につきました、いつもの席に着くと、目の前に苦手な先輩がいますよね、そこで視線があったらどう思いますか?といったようにシナリオをゆっくり進めながら言語化を勧めると聞けることが多い。いっぺんにたくさん聞くと難しいので、丁寧に紙芝居をめくるような感じでそのときの頭の中で考えたこと、外から見たときの自分の振る舞いなどを聞くとよい。
Q7 セッションの流れに乗る=問題解決能力の回復、という軸はとてもわかりやすく納得もできたのですが、一方でケースによっては「流れに乗る=過剰適応や完璧主義といったクライエントの抱えてきたものが再現されている」と感じることもあります。こういったケースにはどのように対応したら良いでしょうか?ケースフォーミュレーションの課題でしょうか?
A7 患者さんが合わせようとしていたとしても、セッションの進め方になれるまでは、いったん枠にはまってもらうくらいでいい。理由としては、そこには生活に役立つPDCAサイクルの体験があるから。一方で、過剰適応の病識が出ているのであれば、面接で扱うネタはどうしたほうがいいではなく、あなたはどうしたらいいと思う、とその人が考える、〇〇したいがテーマになるので、病理が悪化する展開にはなりづらいと思う。いい展開の時は、合わせすぎてしまう自分を軽く冗談でいなしたりする、面接の枠組みにはまろうとしすぎている自分に気づくようになったり。そのため、面接の進め方自体は悪くないことが多い。
Q8 スライド21の諸反応の相互関連性という話がありましたが、基本的に反応は認知からスタートして、他のところに関連していくのでしょうか?それとも行動が先に起こって、他に関連していく場合もあるのでしょうか?クライエントから、情報を聞き取る際、どの反応が一番最初に起こったかを気にかけて聞いて方がいいですよね?
A8 前後関係の前提を作らなくていい。同時に起こることもある。ご本人さんの中で分離できていないことも多い。まずは,ゆるめに「そういう場でどんな反応がおきているのか」を並列的にとらえる。パニックの中で,体の反応や思考がワーッと出てくる,このパーツを素材として情報を入手して,それがどういうつながりになっているのかを一緒に整理していくことが役に立つ(自己理解を深めることにつながる)。クライエントの中でどれが先という認識になっているのかが重要。認知が先にあるということを前提としなくていい。
Q9 先ほど、「発達障害のような方には、行動療法をメインとした方法の方が効果がある」とのことでしたが、「幼児や学童期の子どものように言語理解や言語表出が未発達の場合も、行動療法をメインとした方法の方がうまくいく」と考えてよいでしょうか?
A9 行動ベースで進めるほうがハンドリングがしやすい。どの程度「認知」を活用できそうか,どうやって「認知」を扱うとやりやすいかを考えること。体験を経て,「楽しく過ごせているときに,どんなことを考えてた?」と尋ねることで,次への展開の材料として後付け認知が使える。認知をつけるようになると,その後を予測する(レディネス)ことにもつながる。
Q10 認知療法系の認知行動療法か、行動療法系の認知行動療法かによって、認知を中心に扱うか、行動を中心に扱うか変わるのでしょうか?
A10 認知先行型のセラピーがうまくいくのは限られたケース。認知=先入観・思い込みであり,思考を思考で変えることは難しい。ハッと気づく体験が重要であり,そこには行動が伴う。認知は後から結果として変わっていくもので,次の同じような場面のレディネスとして活用されるため,認知によって行動が変わることはある。
Q11 エクスポージャーについて質問があるのですが、どのような情動も馴化するのでしょうか?例えば嫌悪感にも有効でしょうか?適していない情動もあるのかを教えていただきたいです。
A11 気分と感情の馴化という点では,どの感情も馴化するシステムが人間にはある。エクスポージャーとすると,不安恐怖反応をターゲットとしているため,効かないとは言い切れないが,不安・恐怖反応を主体とする必要がある。 感情の持続は行動とセットになっているとも考えられるため,お決まりの行動を変えることで,感情が持続しない環境を整えることで,馴化を促すことは可能。 「行動実験」は,新しい行動をすることで,いつもの感情・状態とは違うことに気づくことを促す。こうした視点で言えば,他の感情にも応用可能。
Q12 初歩的な質問で恐縮です。心理教育という言葉が何度もでてきましたが、心理教育と、普通の教育は違うのでしょうか。つまり、何をもって心理教育というのかを教えてもらえますか?
A12 明確な定義はないのかもしれない。患者教育と言い換えても通じる。 認知行動療法が心理教育で目指しているのは,Clが自分の状態理解を深め,何を改善していくことがよいのかという見通しを持つための情報提供ということ。 「心理教育で認知を変えている?」おそらくそうしているが,病理の中核にあるやっかいな認知が変わっているかというとそうでもない。困った生活や症状がいい方向に変わっていくのかも,出口のない暗闇ではなく,Thと一緒に頑張っていけば抜け出せるのかも?という期待については変わっているという認識。
Q13 わかりやすく、すぐ実践できそうな内容の講義ありがとうございます。質問ですが、具体的に戦略を考え、目標を共有するまでに比較的早く準備ができる方と、時間を要する方がいるかと思いますが、全体を通しての回数(終結までの回数、または今回の挑戦や練習に要する回数など)については、どの時点でどのように提示していらっしゃるのでしょうか。あるいは、しないのでしょうか。また、復職等期間が限られている場合、その期間内での到達可能な目標設定という場合があるのでしょうか。
A13 回数は躊躇しないで伝えている。「一般的にはこれくらい効果があって,大体10~15回が設定されているので,それを目標に。それより早い人もいれば,ゆっくりじっくりの人もいる」といった伝え方をする。 復職期限などとの兼ね合いは,「復職日が治療の終わりである必要はなく,復職後もサポートしていくことが中長期的に大事なことで,その後も通ってきてください」と伝えていく。
Q14 ポジティブフィードバックを否定的に捉え、先生はすぐに褒めて、ごまかそうとする。本当は自分のことをうっとうしいと思ってるのでしょう等とクライエントが言ってきた場合はどう対応するのでしょうか?
A14 治療関係の問題:証拠のない褒め方はしない。これができたというHWの確認(まぎれもない事実)をベースに伝える。やみくもに伝えない。
Q15 強化者としての役割について質問です。自己肯定感が低い方、自信のない方に伝えても受け取ってもらえないと感じることがあります。繰り返し伝えていくことも必要かもしれませんが、鈴木先生が伝えるうえで気を付けている点やコツがありましたら教えてください。
A15 戦略的に褒める,何をもって成功とするかを共有しておく。練習課題だけではなく,相手がどう反応するかではなく,「話しかけてみる」という行動を実行することが目標とそれができたできないという明確な基準を作る。自己肯定感が入り込む余地のない宿題設定をする。
Q16 認知行動療法の中で、媒介信念や中核信念などという言葉を聞いたことがあるのですが、鈴木先生は、それらの信念を直接セラピーの中で扱う場合はありますか?扱う場合は、どのように扱い、何処がゴールとなるのでしょうか?
A16 エピソードの分析をまとめていくスライドにあったようなイメージ。あまり中核信念で扱うことはしていないかもしれない。中核信念のようなものは,徐々に元気になっていき,それが続いた後に振り返ってみたらこうだったな(許せるようになったかな)と,あとからしみじみ思い出すようなものかもしれない。そこをいじろうとすることが,健康的な面をマスクしてしまうかもしれない(変わりにくいものだからこそ)。セラピーの中で扱えるものを扱いって,先々に気づけるように種をまいておく。
Q17 摂食障害と診断されている方が、話を聞くと強迫的に一定の食材を避けることや、過度な偏り(コーヒーを1日2リットル飲む、きゅうりを15本食べる、プロテインパウダーを粉のまま食べる等)があり、背景には生育環境などにも難しさが伺えます。そこに至るまでのこれまでのお話を聞くことが不可欠だと感じてしまい、そちらに時間を割かれ、クライエントさんは治療に取り組めていう感覚が薄いようです。現在に問題に焦点を当てる、もしくはどのようなかかわりを大事にすることが良いでしょうか。
A17 摂食障害は難しいケースも多い。今回のケースで思ったことは,行動障害の一つとして,セラピーの最初に根気強く行うのは,食行動に対する行動療法。過食・拒食について,ある程度健康を維持することができるところに立てなおし,1日2食は普通の食事ができるようになってきたり,食べ吐きを繰り返していても何でもかんでも食べるといったことがなくなるなど,食行動が整ってきてから,体系や外見に対するとらわれや家族関係の葛藤,嫌なことがあると逃げてしまうといった回避行動にアクセスできるようになるかもしれない。生活行動の立て直しが軌道に乗ってから先を考える。
Q18 犯罪を行った方に認知行動療法を行う場合も、認知に介入するよりも、行動面に重きを置いた方がいいのでしょうか?明らかに犯罪につながる認知をもっているクライエントに合う場合がありますし、実際に前歴もあります。
A18 犯罪の種類によっても,CBTでの標準的な取り組みが整いつつある。性犯罪:性的な刺激との付き合い,衝動性の問題など。犯罪というところで共通項というよりも,犯罪行動の背景にある心理的な特徴やメカニズムというところで類型化しているところが今の流れ。
Q19 先生の説明の仕方、表現そのものがとても分かりやすく、伝わりやすく、CBTを学ぶ立場、CBTをベースに患者さんに関わる立場、両面からとても参考になりました。先生自身はそういった表現の仕方をどのように身につけてこられたのですか?意識すると良いことはありますか?
A19 役だってなんぼ,役に立たないThは去れという認識。役立つためには,伝わらなければ意味がなく,専門用語を使わずに,誰しもがイメージしやすい言葉に置き換えることが重要。
Q20 ケースフォーミュレーションのところで、いろいろ介入を考えていくうえで、事前情報集の大事さは感じました。10~15回でセッションが終わるというお話でしたが、どのくらいで情報収集をしてケースフォーミュレーションするのでしょうか。
A20 大まかな目安としては、初回は困りごとや全体像をつかみ、2回目ではまさにねちねち聞いて、3回目ではクライエントさんとディスカッションしながら第一段階のゆるめのケースフォーミュレーションができて目標共有ができたらよいと考えている。4回目くらいからセラピーの方向が確定し進められるような状態。しかし、3回目くらいで見えてくるケースフォーミュレーションはゆるいものなので、ある程度介入(暫定的なターゲットに対して変化を促す動き)が始まっていくことで、あまりうまくいかない時は一度立ち止まり、もう少し調べてみる等して、目標や見立てを確認したりしながらケースフォーミュレーションに立ち戻ることもある。言語化が苦手な方や同義付けがしぬくい方の場合は、丁寧すぎると停滞につながるので、まずは動き始めてから確認することも必要。
Q21 時間的な制約の中で、先生が普段臨床されているときにどのくらいの時間で(セッション)の見立てをおこなっていますか?
A21 1セッション50分で行っていますが、平均40分程度の枠で組み立ている。残りの10分は確認。
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