医療法人イプシロン

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2021.12.28 更新レポート

日本LD学会でポスター発表をおこないました。

日本LD学会でポスター発表をおこないました。

第30回日本LD(学習障害)学会にて、ポスター発表をおこないました。

演題:発達障害成人の主訴は日本版WAIS-IV知能検査の結果で説明できるか?-CHC理論に基づく5因子モデルを用いて-

現在、成人発達障害の心理アセスメントではWAIS知能検査がよく用いられていますが、そこでは、単なる知能を知る目的で実施するのではなく、検査を受ける方の困りごと(主訴)の原因となっている能力を明らかにすることが重要であると考えられます。そこで、今回法人から7名の医師にご協力頂き、検査を受ける方の困りごとがWAISの結果で説明できるのかを研究しました。

結果からは、片づけが苦手な人(元の場所に戻すことが苦手)は、視覚イメージを頭の中で操作することが難しいことがわかりました。そのため、支援としては、イメージに依存せず見るだけで片づけられるようにすることが得策と考えられます。例えば、色のマッチング(片付けたいものと戻す場所を同じカラーにする)やしまう場所にそのものの名前や写真を貼る、中身が見えやすい透明なものに入れて蓋をしない、などの方法です。

一方で、視覚処理が強い人は、どこから片付けていいかわからなくなりやすいことがわかりましたので、支援としてはいくつかのエリアに分割して1ヶ所ずつ片付けていくことが得策と考えられます。

迂回表現が多くてお話が長くなる方は、的確な語彙や知識量が少ないために、その補償としてたくさん話す側面があると考えられました。語彙力の向上をはかるとともに、説明には視覚的な形(紙に書く、マインドマップ等)に整理しながら進めていくことが有効と考えられます。

今回の研究で、専門家として特性理解を踏まえた支援を考え、ご本人に合ったやり方を身につけて頂くこと、そしてそれを支えることが大切であることをあらためて感じました。また、相談し一緒に考え、手伝ってもらう体験によって自信も生まれ、二次的な問題も少なくなる可能性があると思われます。

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つくば心療内科クリニック 臨床心理士/公認心理師  井上

参照URL:下記サイトの「P0106」

http://conference.wdc-jp.com/jald/2021/P.html#menu

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