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2023.08.30 更新レポート

日本特殊教育学会第61回大会自主シンポジウム(話題提供)に登壇しました

日本特殊教育学会第61回大会自主シンポジウム(話題提供)に登壇しました

会期:2023年8月25日(金)~27日(日)
場所:横浜国立大学
タイトル:「発達障害児・者の心理教育的アセスメントを担う人材に求められるスキル・コンピテンシーを考える」
登壇者
企画・司会者:中野泰伺、脇貴典(筑波大学BHE)
話題提供者:青木真純(東京学芸大学)、半田タユ美(麗澤大学)
指定討論者:岡崎慎治(筑波大学)、篠田晴男(立正大学)

■概要
 日本の高等教育機関に在籍する障害学生数は年々増加しており、特に発達障害や精神障害、内部障害に関する割合が高くなっている現状があります。そのような学生からの支援申請における根拠資料や特性理解のためにはアセスメントが重要ですが、修学支援に活用可能なリソースが身近に存在しなかったり、支援者が専門性を持ち合わせていないこともまた実情です。今回の発表では、高等教育の修学のみならず、特別支援教育段階の発達障害児も対象に心理教育的アセスメントの実施や結果の活用、実施者が最低限身につけておきたいスキル・コンピテンシーについてを医療現場の視点から問題提起しました。

■参加全体を通して
 教育・医療領域に共通するスキル・コンピテンシーとして、「検査・支援の知識とスキル更新」「発達・精神・内部障害の知識」「修学環境に関する必要な情報収集」「検査結果をわかりやすく翻訳する力・説得力」が挙げられると思います。また、スキル・コンピテンシーを確かなものとし、アセスメントの意味を考え続ける上で情報を広く収集し吟味していくためには、関係機関(多職種)と連携していくことが重要と考えます。関係機関(多職種)の専門性から知恵を得ることができる機会でもあり、私たち医療側もそこに汗をかいていかないといけないと感じました。

 また、他に拝聴したプログラムを通しての感想として、インクルーシブ教育がエクスクルージョンにならないように制度や学校教育を見直していくことが求められているように感じました。障害のある子もない子も一緒の学級で学ぶことがインクルーシブ教育のゴールですが、一方で、年々支援級や支援学校に在籍する生徒数が増え続けており、私たちの地域も例外ではありません。捉え方によっては、普通学級から分離されて教育を受けているというエクスクルージョンになっているようにも見えます。
 発達特性のある子がSSTを身につけることは大事ですが、不十分だから支援級や支援学校で、と分けてしまうことで普通学級の子はハンディのある子との付き合い方や共に学ぶ機会、いろんな人と付き合う能力を失ってしまわないかという危惧もあります。
 本当の意味でインクルージョンになるためには、目標を掲げて発達を促進することも大切ではありますが、学校そのものが子どもたちの生活の場になること、そして集団に参加する中で、子どもがその時その時の今ある手持ちの力を使って今できることをしていけるように学校が補償していくことも大事なことと感じました。子どもが今ある力を使って周りの子や大人を手助けし、「喜ばれる」経験を積むことができた結果として「発達」が促進され、自尊感情も育っていくのではないかと感じました。


つくば心療内科クリニック分院
臨床心理士 井上 操

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