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2023.11.18 更新レポート

MSPA講習会を受講しました

MSPA講習会を受講しました

日時:2023年11月10日(13時~17時)、11月11日(9時~17時)
開催:オンライン
主催:京都国際社会福祉センター

MSPAとは、Multi-dimensional Scale for PDD and ADHDの略であり、発達障害の要支援評価尺度という心理検査の一種です。京都大学の船曳康子先生が開発された検査であり、当事者と養育者などに事前アンケートを配布し、それを基に半構造化面接を行って検査を進めます。ASD、ADHD、運動機能、学習障害、睡眠障害の特徴がレーダーチャートに表示されます。

講習会1日目は、MSPA開発の背景・経緯から実施の概要まで講義形式でご教授いただきました。元々はADD/ADHDの評価を行うために作成されたツールでしたが、ASD・LDと幅広く発達特性の評定ができるようになっています。MSPAは診断にこだわらず、個人差への対応の困難さに目を向けてその人それぞれに必要な支援のポイントをわかりやすくなるように、社会生活に適応するためにどの程度の支援があれば過ごしやすくなるのか要支援度(5段階評価)を評定します。発達特性の中でも1つの項目に当てはまる人は少なく、それぞれの特性をベン図の重なりのように持っている人や診断を受けていないが特性を持っている人もいることから、ASD、ADHD、運動機能、学習障害、睡眠障害などの特徴がレーダーチャートの形で、1枚の紙に可視化して示されます。そうすることにより、何の特徴がその人の困りごとに影響しているのかと問題が見えやすくなります。例として、「多動で紹介を受けたケースだったが、実は聴覚過敏のために外出する頻度が高くなっていた」「運動の困り感で相談が入ったが、検査をしたらASDの特徴が多く見られた」などが紹介されており、本人へ支援が必要な特徴は何かを明らかにすることができるようです。また行動特徴が可視化されることで、医療領域だけでなく教育や福祉領域などでも活用でき、各関係機関との共通言語として活用できるツールとなっています。

講習会2日目は、実際に検査キットに触れ、架空事例を用いた評定練習を行いました。15項目それぞれ時間をかけて、評定のポイントや追加で質問したらよい点についてグループで話し合いました。約7時間に及ぶ演習でしたが、時間が足りないと感じるほど充実した内容かつもっと時間をかけて考えたいと思うくらい評定・判断の難しさを実感しました。最初は自分の評定と講師の方の評定が大きくずれてしまうこともありましたが、演習を受けるにつれて誤差内(0.5)で収まる程度にすり合わせを行うことができました。評定に迷う際には、聞き取りが不十分であることや、1つのエピソードにこだわらず他のエピソードに目を向けてみるなど、判断に困った際のポイントについても学びました。講師の皆様方は、検査の評定の仕方だけでなく見立ての仕方や、支援方法の検討まで快く質問に答えてくださり、発達障害の専門家からお話を聞ける貴重な機会にもなりました。

就労移行支援で関わっている利用者様についても考えると、就職する際に自分の不得意な点をどのようにカバーしていくのか、また合理的配慮として企業からどのような支援を受けていくのか検討するため、ご本人への支援度合いという観点は必要になります。自助努力できる点と環境面での配慮が必要になる点の整理や、本人が社会参加する上で何があれば過ごしやすいのかについて検討するためにも、MSPAのツールが参考になると感じました。今後とも、MSPA講習会で学んだ知識及び支援の判断を元に、利用者様の社会参加を支援していくとともに、定期的に資料を読み返して知識や感覚が衰えないよう研鑽していきたいです。

就労支援事業所ブルーム水戸南町
臨床心理士 楠本 紗也

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