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2024.04.05 更新コラム

自分でできるスキーマ療法ワークブック Book1を読んで

自分でできるスキーマ療法ワークブック Book1を読んで

RWにて認知行動療法のプログラムを担当しておりスキーマも内容に取り入れてきましたが、利用者さんからさらに深く掘り下げて取り組みたいという要望も受け、スキーマ療法の詳細を学びました。筆者の伊藤絵美先生が冒頭で述べられていることでもありますが、これまで認知行動療法は「今・ここ」の現実課題の解決に有効な療法という認識でした。伊藤先生自体が「深くて広い問題」「生き方レベルの問題」への対応には物足りなさを感じると表現しており、だからこそ復職や再就職という現実課題に向き合うRWという場に適しているとも考えていました。しかし、さらに深くまでがっちりと取り組めるアプローチとのことで期待とともに読み進めました。

今回読んだワークブック①は、スキーマ療法の本格的な内容というより、これまで認知行動療法で積み上げられてきた理論やワークが、豊富なワークシートととも紹介されていることが中心。冒頭では「時間をかけて少しずつじっくり取り組むこと」「読むのではなくワークに取り組むこと」「とにかく孤独にならないこと」の3点が丁寧に述べられており、スキーマ療法とはあくまで単独で実施できるものではなく、きちんと下準備をした上で、安全・安心を確保し、いざとなったら自分で自分の心を守れる状態を作った上で取り組まなければならないものだ、ということがひしひしと伝わってきました。RWは集団療法の場であり、利用者さんのニーズや課題も様々です。現プログラム内でも、スキーマが非常に役立ったという声もあれば、特に問題となるスキーマはみつからなかったという声もあり、必要かどうかは意見が分かれると思われます。スキーマ療法をプログラムに組み込むかどうかは慎重に検討しなければと思いました。ただ今回紹介されていたワークの中には、現在取り入れられていなかった内容や、さらに詳細化、細分化したものも多くあったため、このワークブック①自体は認知行動療法のプログラムのブラッシュアップに非常に役立つと感じました。セルフモニタリングの方法やストレスコーピング、マインドフルネスなどは、現行のものに肉付けしたり、バリエーションを増やす形で、すぐにでも取り入れていきたいと思います。


Amazon:「自分でできるスキーマ療法ワークブックBood1」伊藤絵美著 星和書店

つくば心療内科クリニック デイセラピー部 前村沙都子

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