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2021.11.02 更新コラム

【連載コラム】働く人のための認知行動療法〜うつからの回復〜 第3回

【連載コラム】働く人のための認知行動療法〜うつからの回復〜 第3回

3.ストレスとうつ病の関係

 続いてストレスとうつ病の関係について解説します。米国労働安全衛生研究所が作成した職業性ストレスモデルを参考に考えてみましょう。このモデルでは職場のストレッサーから疾病に至るまでの流れがまとめられています。流れとしては「職場のストレッサー」から始まり「職場の外の要因(家庭など)」もあればストレッサーに加えます。そして「緩衝要因(他者からのサポート)」や「個人要因(ストレス対処力)」によってストレッサーが緩和されます。ストレッサーが大きく、緩和要因が小さいと「ストレス反応」が生じます。細かく分類するとストレス反応は「身体」「心理」「行動」に分かれます。身体的なストレス反応の例としては、疲れ、食欲の亢進や低下、不眠などがあります。心理的なストレス反応の例としては、楽しめない、何もする気になれない、会社に行きたくなくなる、イライラするなどがあげられます。行動上のストレス反応の例としては、酒の量が増える、遅刻、欠勤などがあげられます。そして、さらにストレスが積み重なると「ストレス反応」にとどまらずうつ病などの「心身の疾病」に至ることになります。

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  こうしたストレスとうつ病の関係モデルは日本においても取り入れられています。日本うつ病学会のうつ病治療ガイドラインではうつ病の説明として「うつ病発症に至る脳と環境の関係と悪循環」というモデルを提示しています。このモデルにおいても複数の「ストレスになる出来事が重なる」そして「周囲のサポート」不足と「睡眠不足」が生じることで「脳機能の変化」、つまり、うつ病を発症するという流れになっています。加えて、うつ病を維持する悪循環としては「ものごとの見方が否定的になる」という出来事に対しての「考え方や捉え方」が加わります。「考え」については後で説明していきますが、否定的な見方によって「誰も助けてくれない」と思ってよりサポートを受けられなくなったり「すべてが上手くいっていない」と思って自分の中で課題(ストレスになる出来事)が増加してしまうことでうつ病の悪循環が形成されるというモデルになります。

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ストレスとうつ病の関係についてまとめると、ストレスになる出来事が重なるとうつ病などの心身の疾患になるリスクが高まります。一方でサポートしてくれる人の存在やセルフケア(十分な睡眠の確保等)はうつ病などの心身の疾患になるリスクを低減させるといえます。

(第4回はこちら)

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