医療法人イプシロン

茨城県水戸市梅香1-2-50

TEL:029-246-6033

お知らせ

2022.03.28 更新コラム

【連載コラム】働く人のための認知行動療法〜うつからの回復〜 第6回

【連載コラム】働く人のための認知行動療法〜うつからの回復〜 第6回

7.従来のうつ病治療と認知行動療法

 うつ病の治療では「症状を落ち着かせるための治療」として休養をとり、薬物治療を受けることが一般的です。従来はこれで十分だと考えられていました。しかし、回復してもストレス対策を習得していなければ、同じようなストレッサーに直面することで再発してしまいます。認知行動療法はうつ病の再発防止にも有効であることが分かっています。認知行動療法でストレス耐性を高め、楽しく余裕のある生活を取り戻していきましょう。

8.ホームワーク:生活の振り返り

 認知行動療法では効果を高めるために日常生活での実践(ホームワーク)を推奨しています。知識を得るだけではなく、実生活で活用して使い方を習得していきましょう。ただし、無理をする必要はありません。どこまで練習するかは自分の体調と相談して決めましょう。
 最初のホームワークは生活の振り返りになります。次回のプログラムまでの1週間の間、「生活記録表」(資料)に「そのときしていたこと(行動)」とそのときの気分を「数値」で記入します。気分は「落ち込み」など自分が困っていたり、よく感じるものを選び「0~100」で強さを記入します。「落ち込み」を観察して強さが100となれば、その時間に人生で最大レベルの落ち込みを体験したことになります。気分が変動したときに行っていた活動(行動)を理解することが目的です。気分が変動するような出来事があったら、それも記載しておきましょう。ストレッサーの理解になります。分単位の細かさはいらず、だいたいその1時間に何をして過ごしていたかが分かれば十分ですが、それでも1時間ごとの記録であり、やってみると大変な作業になります。記録をつける意味は「うつ病は生活習慣の影響を大きく受ける」そして「生活習慣はほとんど無意識に行われる」という点にあります。ストレスの説明でしたように、私たちは日常生活から何らかのストレスを受けたり、習慣的に行っている活動によって気分が変動します。例えば夜間にスナック菓子を食べながらスマホやゲームをして日中眠っている人と、規則正しい生活をして日中に運動をしたり他者との交流がある人とでは気分に違いが出ることは明白です。記録をつけることで自分がどのような生活を過ごしているか、そして、どのような活動や出来事から影響を受けているか把握します。大変ですが一度はやってみましょう。きっと新しい発見があるはずです。

worksheet_1_3.jpg
生活記録表

医療機関では「うつ病を治療する」と表現することが一般的だと思います。私も患者さんのうつ病を治したいと思い認知行動療法を勉強してきました。しかし、うつ病の患者さんと関わるうちに認知行動療法により治るというよりも患者さん自らの力で回復していると感じることが多くなりました。そのため、今ではうつ病を治すというよりも「うつ病からの回復を支援する」と表現する方がしっくりします。うつ病は回復する疾患といえますが、何らかのひっかかりにより悪循環から抜けられず、再発してしまうことがあります。認知行動療法の知見がそうした方々の回復のヒントになるよう情報をお届けしたいと思っています。

(第7回に続く)

認定行動療法士・公認心理師/臨床心理士 岡田


お知らせ一覧に戻る